根管治療

「神経治療って、なんでこんなに時間がかかるのかな?」
「何度も通ってるけど、いつも同じことばかりで治療が全然進んでいない気がする…」
根管治療を受けたことのある方なら、こんな経験をしたことがあるかもしれません。
根管治療は、歯科治療の中でも特に根気が必要な治療です。そのため、治療期間が長くなりがちです。
そのため、途中で不信感を覚えたり、通院を中断したくなることもあるかもしれません。
このページでは、なぜ神経治療に時間がかかるのか、スムーズに治療を進めるためのコツなどを紹介しています。
根管治療の流れ
根管治療はできるだけ、短期間で終了するように治療しています。
理由は、長期にわたると根管内が再感染する可能性があるからです。
ただし、急性炎症がある場合などは、短期間で終わらないこともあります。
ここでは、一般的な治療の過程をご案内します。
治療開始前:口の中の検査・精密検査
通常、根管治療を受ける際には、口の中の検査や精密検査が行われます。
歯の状態を確認し、レントゲン撮影での画像診断で状態を把握します。
その後、カウンセリングを経て治療方針を決定します。
抜髄(ばつずい)

レントゲンで虫歯の深さや膿の状態を確認し、麻酔の注射を行います。
専用の道具を使って汚染された神経を除去し、根の深さを測定してから根内を消毒し、仮の蓋をします。
根管の中を清掃・消毒する

仮の蓋を取り外し、再度根内を消毒・確認します。
この工程を多くて3回ほど繰り返します。
ここで消毒・確認を繰り返し、汚染された神経を完全に除去することがポイントです。
これを怠ると後から症状が再発したり、お痛みの出る原因になります。
根管の中に薬を充填する

治癒後、根内に細菌が侵入しないように薬を詰めます。
根の先まで薬が達するかをレントゲンで確認します。
土台の型どり・かぶせ物をかぶせる

根管治療後は、歯根を補強するためにレジンで土台を作り、その上に「型どり」をして被せ物(冠)をしていきます。
当院では、土台の芯の部分は、審美性・耐久性に優れる「ファイバーコア」を使用しています。
ファイバーコアは、歯に似たしなやかさがあるため、根を壊しにくく、歯にやさしい土台の芯です。
根管治療の中断はとても危険です

根管治療は時間のかかる治療のため、患者さまの中には「痛くないからもういいや!」と途中で来なくなってしまう方もいます。
根管治療では、神経除去により痛みが徐々に減少しますが、途中で治療を中断すると神経を除去した空洞に細菌が入り込み、痛みや腫れを引き起こす可能性があります。
最悪の場合、歯を抜くことになるかもしれません。
とても手間がかかり大変な治療ですが、歯をより長持ちさせるために必要な工程ですので、頑張って治していきましょう。
治療中、少しでも疑問や不安に感じることがありましたら、遠慮せずにどんどんご質問ください。誠意をもってお応えさせていただきます。
成功率を上げるためのポイント
拡大鏡による精密な視野で、根の細部まで確実に処置

根管治療は、歯の内部にある非常に細い根管内をきれいに清掃・殺菌し、密閉する治療です。
しかし、根管は人によって形や本数が違い、非常に複雑な形状をしています。
当院では、拡大鏡(ルーペ)を使用し、肉眼では見えない細部までしっかり確認しながら処置を行います。
拡大視野によって、根管の分岐・破折・感染部位の見逃しを防ぎ、再発リスクを大幅に軽減することができます。
MTAセメント
MTAセメントとは、1998年にアメリカで販売され、日本では2007年に販売を開始した歯科用セメントです。
殺菌効果が非常に高く、虫歯の不活性化をはじめ、神経の保護や根管の内部を埋める根管充填などさまざまな処置で応用が可能です。
特に、虫歯が進行して神経にまで達した場合には、むし歯が進行したところまでの組織を取り除きMTAセメントによって蓋をすることにより、従来では神経を抜いていた症状でも神経を保存出来る可能性が高まりました。
ただし全てのケースに適応されるわけではなく、MTAセメントを用いた場合でも状態によっては抜髄が必要となるケースもありますので、まずは神経を残せる可能性があるかどうか、ご相談いただければと思います。
自費診療 1歯:5000円(税込)
ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)

ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)とは、柔軟性が高くさまざまな形状の根管に対して適切な処置を行うことができる治療器具です。
根管治療では、虫歯に侵された神経を除去するために「ファイル」と呼ばれる器具を使用しますが、このファイルには大きく分けて二種類あり、ひとつが「ステンレスファイル」、もうひとつが「ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)」というものです。
ステンレスファイルのみでは細く湾曲した根管を開けることが困難です。
そこで、当院では十分な柔軟性を持つ「ニッケルチタンファイル」も併用して開けにくい根管の治療をしています。
ファイバーコアで、治療後の歯の破折を防止

根管治療の後は、歯がもろくなりやすく、噛む力に耐えられずに歯根が折れてしまうこともあります。
そのリスクを避けるために、当院では「ファイバーコア」という素材を使っています。
金属製の土台に比べて、ファイバーコアはしなやかで自然な歯に近い硬さのため、歯根への負担が少なく、破折を防ぐことができます。
さらに、金属アレルギーの心配もなく、見た目も白いため、審美面でも安心です。
治療を早く終わらせるには

傷を早く治すためには、身体の免疫力を上げることがポイントです。
睡眠・休息・栄養をしっかりと取り、体調を整えることを意識しましょう。
また何より、治療中の歯で噛まないこと、触らないことが大切です。
神経を抜いた歯は肉体疲労時などにお痛みが出ることがありますが、疲労時だけに起こる我慢できる程度の痛みであれば、大きな問題ではない可能性が高いです。
我慢できないほど激しく歯が痛む場合は、処置をした歯の中に再度、膿や血がたまったり炎症が起きている可能性がありますので、歯医者さんで治療を受けるようにしましょう。
キャラメルなどの強い粘着性のある食べ物は被せ物が取れてしまいますのでお控えください。